クリスマスコンサート〜キャロルでつづる降誕物語(カフコンス第45回)
2007-12-16


 1曲目の「羊飼いたち」は、作曲家のリストが「初孫」に贈った「クリスマスツリー」という曲集の中の1曲で、「甘き喜びのうちに」という、飼い葉桶の中で眠るイエスを讃えたキャロルが使われています。
 2曲目の「いと高き天より」は、天使が羊飼いたちに救世主の誕生を伝える様子を歌ったキャロルで、宗教改革で知られるマルティン・ルターが、家族でクリスマスを祝うために作詞作曲したものです。

『羊飼いたち』
(リスト作曲「クリスマスツリー」より/キャロル「甘き喜びのうちに」による)

『いと高き天より』
(ドイツキャロル/マルティン・ルター作詞作曲)

いと高きところからはるばる来ました
うれしい知らせを伝えるためです

粗末な飼い葉桶に横たわる幼子
その方こそこの世を救う

マリアを母とし飼い葉桶にまどろむ
幼子イエスこそ大きな喜び

 マリアは馬小屋で男の子を産み、布でくるんで、わらを敷いた飼い葉桶に寝かせました。
そこへ羊飼いたちが辿り着き、天使の話の通りの「飼い葉桶の中の幼子」を見つけて、喜び、称えました。
 東の方からは、星に導かれた三人の王が訪れて、幼子を拝み、贈り物を捧げました。
 次の2曲、ヨン作曲の「幼子イエス」と、リスト作曲の「3人の王の行進」には、有名なキャロル「信仰あつき人々よ」のメロディが使われています。「信仰あつき人々よ」は「さあ、行って、幼子を拝みましょう」と呼びかけるドイツの伝統的なキャロルです。日本語でも「神の御子は今宵しも」という題名で知られているので、きっとお聴きになった事があると思います。ぜひメロディを探してみて下さい。

『幼子イエス』
(ヨン作曲/ドイツキャロル「信仰あつき人々よ」を含む)

見すぼらしい馬小屋で
寒々とした貧しさのなかに
この世のものが敬う
聖なる幼子がお生まれになった

*オザンナ オザンナと
羊飼いや天使たちは
歓びに満ちた心で歌う
ああ、光輝と愛の王よ
**「来たれ 崇敬すべき主の元へ」

ああ美しい幼子よ 泣かないでおくれ
母はあなたのゆりかごを揺すり
あなたに口づけする

*オザンナ〓
**来たれ〓

『信仰あつき人々よ〓三人の聖王の行進のように』
(リスト「クリスマスツリー」より/「信仰あつき人々よ」による)

信仰あつき人々よ 喜び勝ち誇り
来たれ ベツレヘムへ

天使の讃える王がお生まれになったのを見よ
来たれ 崇敬すべき主の元へ

布に包まれた幼子なる主を見よ
来たれ 崇敬すべき主の元へ

 ここまでがクリスマスイブ、「聖夜」の物語です。こうして馬小屋で幼子が誕生し、マリアとヨゼフは夢で聞いたお告げのとおり、イエスという名前をその子につけました。
 では、イエス誕生の夜を讃えるドイツの古いキャロル「おお聖なる夜」を、リストの編曲でお聴き下さい。

『おお聖なる夜』
(リスト「クリスマスツリー」より/ドイツキャロルによる)

おお聖なる夜 天の輝きに満ちる!
天使が空に舞い歌う ハレルヤ!

神がお生まれになった! 苦しみと嘲りの世に!
天使が空に舞い歌う ハレルヤ!

 「神の子が生まれて、ユダヤ人の王となる」という噂を聞いた、当時のイスラエルの王ヘロデは、自分に代わって王となる、という子供を放ってはおけないと考えました。そして、イエスが生まれたベツレヘム周辺の、二歳以下の男の子を、一人残らず殺させました。
 しかしマリアとヨゼフはイエスを連れてエジプトへ脱出し、ヘロデ王の嬰児虐殺を逃れることができました。
 次の2曲「山上のマリア」「いばらの道を行くマリア」は、エジプトへの旅の途中の様子を歌ったドイツのキャロルです。

『山上のマリア』
(ドイツ南東地方のキャロル)

山上に風が吹き
マリアは雪のような白い手で幼子のゆりかごを揺らす

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