『がんばれベアーズ』&『トレインスポッティング』&『カルメン』
2001-08-24


『カルメン』には「台詞と曲に分かれているもの」(オペラ・コミーク形式)と、別の作曲家が台詞部分を作曲した「台詞部分も歌になってつながっているもの」(グランド・オペラ形式)の2つのバージョンがあります。現在一般的となっている後者は音楽がたっぷり続く「壮大なオペラ」という雰囲気なのに対し、オリジナルの前者では台詞と曲とが切り離されている分、お芝居らしさ、フランスらしい軽さ、また次々に多彩な曲が出てくる面白さも強調されるように思います。その「多彩な曲の魅力」は『カルメン』の人気の理由の一つで、オペラとしてだけでなくオーケストラの演奏会でも、「序曲」や「間奏曲」に「ハバネラ」「闘牛士の歌」などの歌のオーケストラ用編曲も加えて作られた「組曲」が管弦楽曲としても親しまれていますし、サラサーテ(ヴァイオリン)やブゾーニ(ピアノ)といった当時の名演奏家たちもこぞって『カルメン』を演奏会用に編曲(「カルメン幻想曲」など)しています。

というわけで、『がんばれ!ベアーズ』と『トレインスポッティング』でオペラを聴いた覚えはないとお思いだった方はごめんなさい。このニ本はオペラといってもオ−ケストラによる「組曲」が使われていたので歌は入っていなかったんですね。

ところで「あ、ハバネラ?」と思わせて実は別の曲だったのが『女と男の名誉』(1985米)。特徴的なハバネラのリズムにのせて『セビリアの理髪師』序曲(セビリアつながり?)が演奏されます。マフィアの犯罪シーンに流れるにもかかわらず、ここでも滑稽さが出ていたのが不思議。パーティで『愛の妙薬』の「人知れぬ涙」を歌うオペラ歌手も、なんだかヘタクソで「祝いの席の村のゲイシャ」のようです。イタリア系の人々にとってオペラはそういうものなのでしょうか…?

次回はマフィア映画といえば忘れてならない名作、劇中の『カヴァレリア・ルスティカーナ』が印象的だった『ゴッドファーザーpart3』。

◇『トレインスポッティング』TRAINSPOTTING(1996英)
監督:ダニー・ボイル
出演:ユアン・マクレガー/ユエン・ブレムナー

◇『がんばれ!ベアーズ』THE BAD NEWS BEARS(1976米)
監督:マイケル・リッチー
音楽:ジェリー・フィールディング
出演:ウォルター・マッソー/テイタム・オニール

◆『カルメン』CARMEN(1875初演)全4幕
作曲:ビゼー G.Bizet(1838-1875)
原作:メリメの小説
台本:メイヤック/アレヴィ

禺画像] 川北祥子(stravinsky ensemble)
東京芸術大学大学院修了、「トムとジェリー」とB級映画とパンダを愛するピアノ奏者。
「トムとジェリー」からはクラシック音楽の神髄を、
B級映画からはお金がなくても面白いコトに挑戦する心意気を学ぶ。
パンダからは…?


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*オマケ話(gingapanda掲載の連動コラム)
がんばれベアーズ

『がんばれ!ベアーズ』は初めて劇場で見た映画。アマンダに憧れて兄のお古のグローブはめて天井にボ−ル投げて独りキャッチボールしたりしてました。ウォルター・マッソーの「缶ビールをプシュっと開けて中身をちょっとこぼしてウィスキーを入れる」は子供にはカッコよく見えてこれも憧れでした。もちろんオトナになってからやってみました。カッコいいものではないけど味は追求の価値アリかもと思ってます。※もったいないのでビールはこぼさないで飲むコト。

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