仏蘭西浪漫派二重唱(カフコンス第3回)
2003-05-18


第7回荻窪の音楽祭(主催:クラシック音楽を楽しむ街・荻窪
共催:杉並区文化・交流協会 後援:杉並区/杉並区教育委員会)
参加公演

*曲目

サンサーンス「おいで/牧歌/不運な男」
Camille Saint-Saens (1835-1921)
Viens (1855)
Pastorale (1855)
El desdichado (1871) *スペイン語で演奏

ラヴェル「シャブリエ風に」(グノーの「ファウスト」による)*ピアノ
Maurice Ravel (1875-1937)
A la maniere de Chabrier (1913)

グノー「そよ風の歌 /ゴンドラの舟歌/あなたを愛する心の」
Charles Francois Gounod (1818-1893)
La chanson de la brise (1872)
Barcarola (1873) *イタリア語で演奏
D'un coeur qui t'aime (1882)

カゼッラ「フォーレ風に」*ピアノ
Alfredo Casella (1883-1947)
A la maniere de Faure (1911)

フォーレ「この世であらゆる愛が/タランテラ/金の涙」
Gabriel-Urbain Faure (1845-1924)
Puisqu'ici-bas toute ame (1874)
Tarantelle (1874)
Pleurs d'or (1896)

(アーン「シブレット より 私たちはすてきな旅をしました」)


*出演

渡辺有里香(ソプラノ)
藪内俊弥(バリトン)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 本日の二重唱の書かれた19世紀フランス音楽界は、その美しいロマン派の響きと裏腹に激動の時代であった。ドイツ音楽とイタリアオペラが主流の19世紀、ベルリオーズの「幻想交響曲」で幕を開けたフランス音楽復興をグノーが軌道に乗せ、また保守派のサンサーンスも「国民音楽協会」を設立してフランス独自の音楽を追求、サロン音楽のレッテルを貼られがちなこの二人によって意外にもサロンの娯楽の中から芸術歌曲が生み出され、両先輩を引き継いだフォーレがいわゆるメロディー=フランス芸術歌曲を確立する。そして20世紀はご存知の通りフランス音楽の黄金時代となるのだが、19世紀末、ワーグナーの巨大な波にも押し流されることなく自国の音楽を創り上げたこの三人なしには後のドビュッシーやラヴェルの登場もあり得なかっただろう。そんな彼等の「プロジェクトX」を本日の九曲の中に想像していただければと思う。


*歌詞大意

「おいで」(ユゴー)

おいで!見えないけれど笛が 果樹園で溜息をつく
いちばん穏やかな歌は 羊飼いの歌

風は樹の下でさざ波ををたてる 暗い水面に
いちばん楽しい歌は 鳥の歌

おまえを苦しめるものがないよう いつも愛しあおう!
いちばん美しい歌は 愛の歌

「牧歌」(デトゥシュ)

ここでは優しい鳥が 恵みの実をついばみ
丘の斜面には 響きわたる
こだまの伝えた歌が

芝生では小川が 浮気をささやき
楡の若木は 小さな花を抱くように
小枝をかたむける

「不運な男」(不詳)

私にはどうでもいい 希望の樹に花が咲くかなど
花が枯れようと 実を結ばなくとも

愛は天国と人は言うが 私には地獄だ
愛し合う者たちはいつも 終わりのない拷問の中にいる

幸運な男と不運な男は 違ったため息をつく
一方は喜びを訴え もう一方は苦しみを訴えて

「そよ風の歌」(リニ)

谷で歌うそよ風がきこえるかい?
美しい季節を約束した歌が
さわやかで心地よい風よ
おまえはいつ谷にやって来たのか
おまえの知らせは何だろう
幸せの兆しは何だろう
おまえの通ってきた道で
おまえは何の歌をつぶやいているのだろう?
野原でおまえは陽気に
甘い息を吹きかけて夏を連れてきた!
鳥が森で歌い、その愛らしい声がおまえの声とまざるのは
おまえのためだ!
おお、歌え! 野原と森をうっとりさせよう!
見えるかい? ひらひらと花が地面を離れるのが
元気な蝶々を追いかけて
見えるかい? 蝶々の群れが歌に乗って
楽しげに浮かれて飛んでいるのが
でもおまえはすぐに行ってしまう

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[├終了したカフコンス]

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