ブリテンのキャバレーソング
2014-06-16


「キャバレーソング」とは「ショーのある酒場」の出し物として歌われた歌を指し、シェーンベルクが文芸キャバレーの指揮者時代に書いたものが有名ですが、ブリテン(1913-1976)の「キャバレーソング(1937/39)」は、演劇性のある、純クラシカルな芸術歌曲とはまた違った(作曲者によればコール・ポーター風の?)歌、といった所でしょうか。

1937年初め、ブリテンはW.H.オーデン作「The Ascent of F6」のための劇音楽を作曲し、特に好評を得た挿入歌「時計を止めろ」を、何ヶ月か後に独唱用の「葬儀のブルース」に改作しました。この歌は「The Ascent of F6」のキャストだった女優Hedli Andersonによって試演され、ブリテンも「これはヒットしそうだ!」と気に入って、彼女のレパートリーとして、オーデンの詩による歌を次々に書き足しました。

が、それらはブリテンの生前には出版されなかった上に(「昆虫の小品」同様、何か構想があっての事かも)、多くは消失してしまったようで(他の曲も発見されてほしいもの)、現在残る「キャバレーソング」は今回演奏する4曲のみです。

第1曲は、説明不要な(ゴメンナサイ)有名な詩「教えて 愛の正体を」によるもの。第2曲は、救いようのない悲劇の中に深い愛が浮かび上がる「葬儀のブルース」。第3曲「ジョニー」はジョンへの愛を一生貫いた(というと聞こえはいいけどちょっとイタい)女性の歌。第4曲「カリプソ」は特急列車で彼のもとへ急ぐ女性の歌で、ラテンのリズムで電車の音を模した早口の歌詞がユーモラス(当時は電気機関車がブームだったのかもしれません)。

どれもステキな愛の歌ながら、オーデン/ブリテンの作となれば「彼を愛する私」が女性とは限らず、そう考えると意味合いがフクザツになりますが、女声のために書かれていますし、今回の私達の演奏は素直に女性という事で。


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今月の演奏メニュー

2014年6月22日(日) 11時開演(10時40分開場)
於:本郷・金魚坂 / コーヒーまたは中国茶つき 1,500円

cafconc第109回
雨の日のカフェ〓カフェコンセールの歌姫vol.6
(*日本語字幕付き原語演奏)

ヴァイル「雨が降る/別れの手紙」
ツェムリンスキー「キャバレーソング」
  太陽横丁/ボンバルディル氏
シャミナード「宝石箱/隣人/素敵な気分」
ブリテン「キャバレーソング」
  教えて 愛って何?/葬儀のブルース/ジョニー/カリプソ
ほか

渡辺有里香(ソプラノ)
川北祥子(ピアノ)

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