バリトンカフェ(カフコンス第21回)
2005-10-30


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*曲目

ロッシーニ『チェネレントラ』より「重大な秘密です」
Gioacchino Rossini (1792-1868)
"La Cenerentola" (1816)
Un segreto d'importanza

「ラッパを吹き鳴らせ」によるヘクサメロン変奏曲 (1837) より
変奏 1 Ben Marcato(タールベルクによる)
変奏 6 Largo(ショパンによる)
*ピアノソロ

ベッリーニ『清教徒』より「ラッパを吹き鳴らせ」
Vincenzo Bellini (1801-35)
"I Puritani" (1834-5)
Suoni la tromba

タールベルク「ドンパスクアーレ」による幻想曲 op.67 より
なんと優しい(エルネストのセレナード)
*ピアノソロ

ドニゼッティ『ドン・パスクアーレ』より「静かに間髪を入れず」
Gaetano Donizetti (1797-1848)
"Don Pasquale" (1842)
Cheti, cheti, immantinente

(同「静かに間髪を入れず」最後の部分bis)


*出演

青山貴(バリトン)
藪内俊弥(バリトン)
川北祥子(ピアノ)


*プログラムコメント

 オペラといえばソプラノとテノールが主役というイメージだが、バリトンは脇役に過ぎないのだろうか?
 『チェネレントラ』のダンディーニは王子に扮する召使い、マニフィコは娘をなんとかして王女にと躍起になる父親、こんな芸達者なバリトン達がいてこそ物語はさらに面白く発展するのではないか。そしてバリトンといえばテノールの恋敵である。『清教徒』のリッカルドは苦悩の末に恋敵を助ける決心をするが、この「苦悩」もバリトンの十八番、聴かせ場なのだ。ジョルジョ(バスバリトン)のような「年配の識者」もオペラには欠かせない。『ドン・パスクアーレ』では、ソプラノとテノールのカップルを脇に追いやり、パスクアーレ(バス)とマラテスタが大活躍である。
 本日の二重唱集をお聴きいただけば、バリトンこそオペラの真の立て役者なのだと感じていただけるに違いない。もっともこの三本のオペラも、ヒロインとテノールがめでたく結ばれる、という結末なのだが…


*歌詞大意

『チェネレントラ』二幕一場「重大な秘密です」
(フェレッティ台本)

*原作は「シンデレラ」だがオペラでは王子が召使いに扮し、召使いが王子に扮して花嫁探しをしており、ドン・マニフィコ男爵と二人の娘は偽の王子(実は召使いダンディーニ)をちやほやし、継娘チェネレントラは偽の召使いに思いを寄せる。この二重唱はダンディーニが自分は召使いだと打ち明ける場面。

ダンディーニ(青山):
重大な秘密です、面白い謎を明かしましょう。
想定の範囲外の事でびっくりするでしょう。

マニフィコ(藪内):
瞬きもせず、息も殺してお聞きします。
石のように動かず、一言も逃さずに。

ダンディーニ:
賢明な人物は助言が上手です。
もしあなたの娘の一人と結婚するとしたら、あなたの処遇は?

マニフィコ:
(顧問は確実だ!)身に余るご厚情!
閣下、いや陛下、お聞き下さい。
いつも広間には30人の正装の給仕人、116頭の馬、
公爵、伯爵、元帥たち大勢の招待客、ジェラートつきの宴会、
そして馬車に6人の従僕をご用意します。

ダンディーニ:
では隠さずお答えします、私達はあまりにかけ離れていると。
私は宴会には不馴れで、いつも残り物を食べ、
上流階級の人達には近寄らず、召使いたちとつき合い、
いつも自分の足で歩きます。

マニフィコ:からかうのですか?

ダンディーニ:本当の事です。

マニフィコ:ではどうして?

ダンディーニ:
作り話です、王子とは嘘、私は仮面をかぶった役者、
しかし本物の王子が仮面を取りました。
私は本当の職に戻ります。私は召使いのダンディーニ。

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