アマデウス
2002-02-08


騎士長の屋敷に押し入ったドン・ジョヴァンニは、娘アンナを誘惑しようとして騎士長と決闘になり殺してしまう。アンナは恋人オッターヴィオとともに復讐を誓う。ドン・ジョヴァンニが次に声をかけたのは偶然にも彼に捨てられて追ってきたエルヴィラだったが、ドン・ジョヴァンニの従僕レポレロがうまく主人を逃がす。ドン・ジョヴァンニは村の花嫁ツェルリーナも誘惑するが失敗、ツェルリーナと花婿マゼットも彼を追う。皆から逃げたドン・ジョヴァンニの所へ騎士長の石像が現われ懺悔するように命令するが、ドン・ジョヴァンニが決然と断ると地獄の火が彼を包み込む。
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このオペラ最大の見せ場はやはり「ドン・ジョヴァンニの地獄落ち」でしょう。『虚栄のかがり火』(1990米)では逮捕目前まで追い詰められたトムハンクスが『ドン・ジョヴァンニ』を観に行き、地獄のかがり火の恐ろしいシーンに自分の姿を重ねていました。『アマデウス』でも煙が吹き出す演出(当時に可能?)。対照的にとても美しくて人気なのが二重唱「手をとりあって」。ジョニー・デップが自分をドンファンと思い込んでいる青年を演じる『ドンファン』(1995米)ではあくまでもロマンティックに使われていましたが、実際には誘惑するドン・ジョヴァンニと結婚式当日というのに誘いに乗ってしまうツェルリーナの二重唱なのでもう少し複雑な意味合い。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』(1981米)のジェシカ・ラングは夫が寝室でこの曲のレコードをかけているのでニコルソンの誘いに乗れません。『バベットの晩餐会』(1987デンマーク)では歌のレッスンでこの曲をデュエットしながら先生にキスされ、敬虔な姉妹はその日限りでレッスンを断ってしまいます。ちなみにこの先生、公演シーンでは「セレナード」、鼻歌では「酒の歌」を歌うという『ドン・ジョヴァンニ』づくしですが、ほんとうはとても誠実な人で、原作によればキスもあくまでも役の上で気持ちが高ぶったとのこと。それに『ドン・ジョヴァンニ』でも「誘惑は未遂に終わる」ルールは守られているのですが。

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◆『コシ・ファン・トゥッテ』
青年士官グリエルモとフェランドは自分の婚約者の貞節を信じ、女はみな移り気だと主張するドン・アルフォンソと賭けをする。二人は急に戦地に赴くことになったと芝居をうち、それぞれの婚約者で姉妹のフィオルディリージとドラベラは貞節を誓って彼らを見送る。男達はすぐに異国の貴族に変装して戻り姉妹を誘惑するが簡単にはなびかないので安心する。しかしアルフォンゾに協力する小間使いのデスピーナにもそそのかされるうち、姉妹はついに浮気してしまい、アルフォンソは「女はみなこうしたもの(コシ・ファン・トゥッテ)」と勝利を宣言する。男達は士官に早変わり、彼らの帰還が告げられて大混乱ののち、一同はめでたく和解する。
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『くたばれ』では『ドン・ジョヴァンニ』の興行失敗の後「今度はイタリアの他愛ない話だから大丈夫さ」と言って序曲を弾いて聴かせます。その言葉通り他愛ないお話で美しい重唱がゆったりたっぷり味わえるオペラ。『ハーモニー』(1996豪)は精神病院のセラピー活動で患者に『コシ』を上演させるというコメディ。元のオペラを知っていたほうが断然面白いので『コシ』を見てから是非。『マイ・レフトフット』(1989アイルランド)はフェランドが恋人の貞節を確信して歌うアリア「恋人の優しい息吹は」のレコードを左足でかけるシーンから始まります。

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◆『魔笛』

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